抄読会 (Journal Club) での研究論文の選び方【抄読会を賢く乗り切るコツと裏技】

研究

抄読会のプレゼンはストレスフルですよね。

準備に時間もかかりますし、下手なプレゼンをしてしまえば「こいつはできないやつだ」との評価になってしまうかもしれません。

抄読会に慣れていない人は、抄読会の順番が回ってきて「どの論文を選んだらいいんだろう」と頭が痛くなっている方がいるかもしれません。

この記事では抄読会で研究論文を選ぶポイントについて解説します。

私の経験では、抄読会は論文選びで70-80%ぐらい勝負が決まってしまうと思っています。良い論文を選べばプレゼンもしやすいですし、ラボメンバーにとっても有益な抄読会になりますので、論文選びは慎重に多くの時間を費やした方がいいと思います。

抄読会をする意味と目的

まず抄読会の意味と目的について考えてみましょう。

自分の勉強になる

抄読会は何よりも自分の勉強になります。

抄読会のプレゼン担当の人は、筆者になったつもりでプレゼンをしなければいけませんので、その論文の背景、目的、結果やその筆者がどのように考えているのかというところまで理解しなければいけません。

普段はななめ読みをしてしっかりと論文を読むことはないかもしれませんが、抄読会の順番の時は時間をかけて深く論文を読む良い機会になります。

PIも含めてラボメンバー全員の勉強になる

ラボメンバー(PIも含めて)の勉強になります。

皆さん忙しいですので、PIでさえも全ての論文に目を通すことができるわけではありません。

抄読会は、出席することによって最新の研究に定期的に(半強制的に)触れることができるシステム、という目的があります。

抄読会で読む論文を選ぶポイント

1. インパクトファクターがなるべく高い論文を選ぶ

「論文の価値はインパクトファクターでは評価できない」というご意見があるのも承知しています。

しかし、多くの研究者がインパクトファクターをどこかで気にしており、なるべくインパクトファクターが高い論文に挑戦しているというのも事実です。

そこには競争原理が働いており、質の悪い論文は自然淘汰されていきます(中には何でこの論文がこの雑誌に?というものもありますが、割合としてはかなり少ないと思います)。

もちろん、研究分野によっては最高峰の雑誌のインパクトファクターが一桁ということもあります。分野間でのインパクトファクターは比較できませんので、自分が属している分野でなるべくインパクトファクターが高い論文を選ぶと間違いは少なくなるでしょう。

インパクトファクターなどの論文ランキングの調べ方はこちら

2. なるべく新しい論文を選ぶ

抄読会の目的の一つに、その領域での最先端の研究に定期的に触れるという意味があります。

暗黙の了解として、1年以内ぐらいというのが許容範囲でしょう。

上級者になれば古い論文を選んでも良いかもしれませんが、その時は現在の最新の研究との対比をしながらプレゼンすると良いと思います。

3. 図表で選ぶ(Graphical Abstract)

最近の論文では「Graphical Abstract」といって、その論文の内容を一枚のイラストにして出すことを要求される論文があります。

百聞は一見にしかずと言います。この「Graphical Abstract」が載っている雑誌から論文を選ぶと非常にプレゼンしやすいです。

例えば、Cell関連の雑誌はGraphical Abstractがあります。

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もしGraphical Abstractがない論文を選ぶ場合には、自分でまとめの図を作って、その図をもとにプレゼンすると聞いている人が分かりやすくなります。

まず論文の全体像をみなさんに分かってもらうことが重要です。

4. 自分の研究、ラボの研究に近い領域の論文を選ぶ

抄読会は少なくとも30分はかかりますので、30分 ✕ ラボの人数分の時間を使わせてもらうことになります。

この時間を有意義なものにするかどうかは、あなたのプレゼン次第と言っても過言ではありません。

抄読会をプレゼンする心構えとして、聞いている人にとって「抄読会に出てよかった、役に立った」と思わせることが何よりも大事です。

そのためには、ラボの研究と関連のある題材を選ぶことが暗に求められていますので、あまりテーマとかけ離れていないものを選びましょう。

5. 原著論文(Original article, Regular article)を選ぶ

論文の種類として、

  1. 原著論文 (Original article, Regular article)
  2. 総説 (Review)
  3. レター(letter)
  4. Brief communication

などがあります。

抄読会初心者にありがちなミスとして、原著論文以外の論文を選んでしまうことです。

一般的に抄読会で期待されているのは原著論文を読むことなので、これは注意しましょう。

もう一つ注意点として、いま流行りのプレプリント(preprint)は避けたほうがよいでしょう。

査読前のプレプリントの論文をbioRxivmedRxivなどに掲載することが多くなりましたが、

これらは査読されていないので、本当に良い論文なのかどうか分からないですし、ウソの可能性もあります。

プレプリントは上級者向けですので、抄読会には選ばないほうが無難だと思います。

6. 自分が理解できる範囲の論文を選ぶ

基本的に抄読会の発表者は、その論文に関しては全ての内容を把握しているということが期待されています。

ラボによっては、マテメソの細かい部分まで質問されることもあります。

少し背伸びをして難しい論文を読むのをもよいのですが、あまり難しすぎて論文の内容が理解できていなければお寒いことになりかねないので、適度な難しさのものを選びましょう。

また論文によっては説明するFigureが多すぎる論文も冗長になりすぎて聞き手が飽きてしまうので、コンパクトにまとまった論文を読むと良いでしょう。

7. 日本語の論文解説サイトを活用する

論文の概要について日本語で解説しているサイトから論文を選ぶと、プレゼンしやすくなります。

「日本の研究.com」の「ニュース・記事」というところを見ると、最新の論文のプレスリリースが載っており、大まかな内容を一般人向けに分かりやすく書いてあります。

日本の研究.com
日本国内で研究されている研究課題や研究者についてのデータベースサイトです。科研費をはじめ各省庁、JST、NEDO、AMEDなどの競争的研究資金の研究費データを独自に収集し、公開しています。

またAASJでは西川伸一先生がほぼ毎日、トップジャーナルから面白そうな論文を選んで解説してくださっていますので、これをきっかけに読みすすめるというのも一つの方法かもしれません。

AASJホームページ
オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ)のホームページです。医学・医療を中心に、科学を患者さんや一般市民の側から考えます。

少し前までは「ライフサイエンス 新着論文レビュー」という、日本人の著者が自分の論文について日本語で解説しているという良いサイトがあったのですが、更新を停止されたようです。

ライフサイエンス 新着論文レビュー

どうしても読む論文がわからない場合の裏技

どうしても抄読会用の論文の選び方が分からない場合に、私が行っていた裏技があります。

それは、上司や先輩に

「今度の抄読会用の論文でおすすめのものはありますか?」「すいません、自分で色々と論文を当たっているのですが中々いい論文が見つかりません。」

深くお辞儀をしている男性会社員のイラスト(横向き)

と素直に聞いてみましょう。だいたいの人は相談に乗ってくれて、いくつか論文を紹介してくれると思います。

その上司や先輩も自分が勧めた論文なので、プレゼン本番の時には味方をしてくれる可能性が高いですよ。

まとめ

抄読会の論文の選び方についてご紹介しました。

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