サンガーシーケンシングの時に、PCR産物を磁気ビーズやスピンカラムで精製することがあると思います。
その他の新しい方法としてExoSAPという試薬を使えば、混ぜるだけでサンガーシーケンシング用のPCR産物が準備できます。
この記事ではExoSAPの解説と、自作で安くすませる方法を紹介します。
ExoSAPとは?ExoSAPのメリットは?
PCR反応液には過剰なdNTPやプライマーが残っていますが、これらをサンガーシーケンシングに持ち込むとノイズが大きくなったり、最悪の場合は読めなくなってしまいます。
これらを除くために、PCR産物を磁気ビーズでやスピンカラムで精製するのですが、ExoSAPという試薬を加えることで簡易精製をすることもできます。
ExoSAPのメリットとしては、混ぜるだけなので何よりも簡単ということです。
そして、ビーズやスピンカラムはどうしてもロスが出てしまい回収率が100%になることはありませんが、
ExoSAPの場合は同じチューブ内で反応させるので、全くロスが出ません。
ExoSAPの原理
ExoSAPは「Exonuclease I 」と「Shrimp Alkaline Phosphatase(SAP)」からできています。
名前もそれぞれから一部分取っています。
Exonuclease I は一本鎖DNAの3’末端から順にヌクレオチドをはずしていく酵素です。これによって、PCR反応液に過剰なプライマーが分解されます。PCR産物は二本鎖なので影響はありません。
SAPはアルカリフォスファターゼの一種で、dNTPを脱リン酸化し、無機リン酸塩とヌクレオシドに分解します。
この2つの酵素の働きによって、過剰なプライマーとdNTPをシークエンシングに持ち込まないようにできます。
自作のExoSAP溶液の作り方とプロトコール
自作のExoSAPは非常に簡単に作れます。
Exonuclease I (20units/ul) 5ul と SAP (1unit/ul) 15ulを混ぜるだけです。
20ulのPCR産物に1ulの自作ExoSAPを加えて
37℃で15分間(分解させる)、80℃で15分間(不活化)して終了です。
これをそのままシークエンスのテンプレートとして使ってもらって大丈夫です。
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